近年、下垂した皮膚を引き上げるリフトアップ施術として、ヒアルロン酸注入による「ヒアルロン酸リフト」が注目されています。メスを使わず注射のみの施術となり、注入直後の効果発現と、ダウンタイムのほとんどないことがヒアルロン酸リフトの特長です。

ヒアルロン酸リフトは当院でも非常に人気の高い施術の一つとなります。今回は、当院院長である篠原医師にヒアルロン酸注入の奥深さやこだわりについて伺いました。

「マニュアル通り」のヒアルロン酸注入に隠れたデメリット

ほうれい線が気になります。そうおっしゃる方に『では、ほうれい線にヒアルロン酸注入をしましょう』というのは一昔前の話です。ほうれい線が気になる、その本当の原因は多くの場合、お顔のたるみです。

ほうれい線を膨らますことが正解なのではなく『たるみをリフトアップ』すること、それによって初めてほうれい線が目立たなくなる、それが本当の意味でのヒアルロン酸治療です。そのため、お顔のどこに・どの様な種類のヒアルロン酸を・どのくらいの量注入すればいいのか。そこがヒアルロン酸注入において非常に重要で、成否のすべてです。

現在ふたつの製薬メーカーが厚労省の認可を得て、医師に対する知識や技術の情報提供を積極的に行っており、どちらもリフトアップを主眼に置いた注入法を推奨しています。この注入法はメーカー主導のもとマニュアル化され、誰でも安全に、そして効果的に注射ができるように工夫されています。

注入法のマニュアル化は多くのメリットを持ちますが、デメリットも存在するはずです。そもそも、みなさん、同じような仕上がりを望みますでしょうか？顔の形やたるみの程度も違うのに同じやり方で良いのでしょうか？

ベテランの医師でも注入初心者の医師でも、仕上がりや安全性に関してあまり差が出ない。それは再現性が高い技術と表され、医療行為としては素晴らしいものであり、賞賛に値するものなのですが、美しさを求める行為は救命性を高める一般医療とは大きく性質が異なります。

「木を見て森を見ず」の感覚で「その人」に合った美しい顔を目指す

ヒアルロン酸の仕上がりが医師によって大きな差がつくのは、この治療がある意味一種のアートだからです。『ほうれい線が気になります、それはほうれい線の問題ではなく”たるみ”が原因ですからリフトアップしましょう』このように医師は患者さんに対して『木を見て森を見ず』（ほうれい線にとらわれず、全体的なたるみを意識しましょう）といった説明をよく行い治療にあたるのですが、まさしくこの全体を俯瞰する感覚が難しく、センスが問われます。

教科書的な美の基準というのは存在しています。しかし、ただ教科書通りのバランスを誰にでもあてはめて、同じように追い求めることが果たして、本当に美しい仕上がりになるといえるのでしょうか。あくまでも教科書的なバランスというのは机上の理論であり、参考には当然してしかるべきですが、その人の個性を引き立て、より魅力的な顔貌を作るアート的な感覚が大切だと思うのです。

患者さまの中には左右差を気にされる方も多く、そして左右差を整えようとする医師も多いのですが、人が人をリアルに見る時は3Dです。SNS等の写真や動画、あるいは鏡に映った自分の顔など、これらはすべて2Dです。奥行きのある立体的な顔を平面化しているため、2Dの世界ではわずかな左右差もかなり強調されて見えます。

自分自身の顔を3Dで見ることはできないため、医師が患者さまの顔を観察したときには、左右差がごくわずかしか無いにも関わらず、過度に気にされている方は少なくありません。

この3Dと2Dの説明を差し上げると、リアルでの変化を希望される方（ごくわずかな左右差の修正に重きを置くよりも、全体的な調和を優先する）が大半なのですが、あくまでも写真上の変化を求めたいという方も、ごくまれにいらっしゃいます。たしかにSNSやリモート会議など、生活の多くの時間がリアルではなく、2Dの世界に傾いているかも知れませんから、気持ちは分からなくもないのですが、難しい問題ですね。

ともかく、人種・年齢・時代によって美しいと感じる感性は異なると思いますから、私はマニュアル通りの施術ではなく、その人の、その年齢に合った美しい顔を目指すことを心がけています。そのためには、決して不自然ではない、ヒアルロン酸が入っているとは思えないナチュラルな仕上がりが重要だと考えています。

40代以降はまず”中顔面”を整えることで若々しく

正面から見た時に、ひたい、眉から鼻まで、そして鼻下からアゴ先までをそれぞれ、上顔面・中顔面・下顔面と呼びます。この3ヶ所のバランスをみて、どの部分をまず治療することで全体の調和が整うか、その優先順位を見極めて、ご案内しています。

40代以降のほとんどの方は中顔面に少し手を加えると若々しく見えます。もちろんすべての方に当てはまるわけではなく、上顔面や下顔面を優先すべき人もいらっしゃいますから、その人のどの部分を治療することで、どう変化するのかを見立てる事が重要です。中顔面の注入には左右それぞれ1本程度使用することが多いです。

また日本人はアゴが小さい人が多いですから、顔の上下方向だけでなく、アゴの高さを出し、前後方向(Eライン)を整えることでバランスの良い仕上がりになる方も多いです。

ヒアルロン酸注入による重篤なトラブルに怖がりすぎないで

重篤なトラブルというのは、ほとんど起こりません。最近は「この滅多におきない合併症の確率は公共交通機関を利用中に事故にあう確率と同じくらいですよ」とカウンセリングでお伝えしています。電車・バス・タクシー、自分が乗車している時に事故にあった、という経験がある人はそう多くないと思います。

しかし毎日のように交通事故や、電車の事故が起きているのは皆さんご存じの通りです。交通量や電車の本数が増えるほど、そして乗車する機会が多い人ほど、一定の確率で事故はおき、遭遇してしまうものかと思います。もらい事故や電車の事故など防ぎようのない不可抗力も存在していると思いますが、ドライバーの経験や注意力で未然に防げるアクシデントも多く存在しているはずです。

あるいは、事故にあった時に適切な対処ができるかどうか、そのことで事故の後の復旧に大きな差が出るはずです。私たちは、多くの経験から事故の防ぎ方、そして万が一、事故が生じてしまった場合の最善な対策を常に更新しています。

形成外科で培った知識や経験を活かすSRC式ヒアルロン酸注入

SNSなどでも”注射のみの手軽な美容医療”として紹介されることが多い一方、ヒアルロン酸注射によるリフトアップ施術は高い技術力と、良質なヒアルロン酸製剤が必要となります。

当院の院長である篠原医師はもともと形成外科医で、大学病院で研鑽を積み専門医を取得したのち、美容皮膚科診療を専門的に行ってきました。その知識と臨床経験を活かしヒアルロン酸注入やボツリヌス注射の指導医として医師への技術指導を行なっております。

当院は一般医療・美容医療ともに臨床経験が豊富な医師のみが在籍する美容クリニックです。丁寧なカウンセリングはもちろん、より理想の仕上がりを目指すために3D画像シミュレーション装置「ベクトラ®」による計測と予測に基づくデザインが可能です。また当院では、厚生労働省承認のヒアルロン酸製剤「レスチレン®シリーズ」を取り扱い、安全性の高い注入法でたるみ改善へと導きます。