医師の技術力・知識・センスが試されるシワ治療

自然で若々しい顔印象へ仕上げるためには、医師の技術力や知識だけでなく、美的センスが必要といえるでしょう。

効果の高いシワ治療をおこなうためには、シワの種類と原因を見極めることが大切です。それと同時に各皮膚組織の衰えの程度を診察し、これから現れるシワ・たるみを想定した治療計画を立てる必要があります。

当院では、今あるシワだけを部分的に埋める「木を見て森を見ず」な治療では、根本的なシワ改善にはならないと考えています。シワそのものではなく、加齢により乱れた顔全体のバランスを立体的に整えることで、結果的にシワの改善につながるような治療をおこないます。

部分的なシワ改善による不自然な若々しさではなく、時を巻き戻したかのような自然な若々しさを目指す当院のシワ治療は、とくに40代以降の複合的なエイジング症状が現れた方々に支持されています。

原因・程度・顔バランスを見極めた複合的な治療が大切

シワとは皮膚の表面に生じる線状の溝のことです。加齢とともに進行するシワは、代表的な老化変性といえます。一般的には顔に生じた線や溝すべてを「シワ」として認識する方が多いでしょう。しかし、シワの定義は不明確であり、原因もさまざまです。

美容医療領域では、皮膚の水分量低下であらわれる細かく浅いちりめん状のシワを「乾燥ジワ・小ジワ」。表情筋の反復運動と弾性物質の減少により定着したシワを「表情ジワ」として分類します。

一方、ほうれい線やマリオネットラインなどは厳密にはシワではなく、たるみが引き起こす溝(段差)となります。筋膜やリガメントの衰え、顔面骨萎縮などが原因とされています。

小ジワ・ちりめんジワは放置せず早めの治療を

小ジワは”ちりめんジワ”とも呼ばれ、角質層の水分不足により生じる浅く細かなシワです。小ジワのおもな原因は乾燥とされています。しかし年齢を重ねることで、基底層の細胞産生減少や真皮層の弾力物質減少により皮膚が菲薄化することにも影響を受けるといわれています。

若年層の肌に発生した小ジワであれば、保湿によるケアでも一定の改善が見込めます。しかし、皮膚の菲薄化が関与する小ジワは真皮層からの改善が必須といえるでしょう。小ジワは放置することで深いシワとして刻まれるため注意が必要です。

30代以降の場合、たるみジワと小ジワが混在するケースも多く見られます。このような症状にはたるみジワだけでなく、「肌育治療」と呼ばれる皮膚の菲薄改善をおこなうことが大切です。

表情ジワは刻まれる前の予防治療と捉える

顔はさまざまな筋肉が拮抗し、バランスを保つことで豊かな表情を作り出します。しかし、年齢とともに喜怒哀楽の表情を繰り返す中で皮膚が折りたたまれ、深い表情ジワへと進行してしまいます。

表情ジワ治療はボツリヌス注射が第一選択です。一時的に神経伝達物質の放出を抑え、表情筋の過緊張を和らげます。注入後3〜4日ほどで効果が現れ、3〜4ヶ月の間、表情ジワを改善します。

ボツリヌス注射の最も優れた点は、未来のシワ予防効果です。定期的な治療により、シワの進行を遅らせることができます。今は目立たない表情ジワも日々進行し、やがて深いシワとなって現れます。10年後、20年後の自分の肌を想像したうえで、治療を検討することが大切です。

一方、ボツリヌス注射の失敗や、抗体産生を過度に恐れる方も少なくありません。ボツリヌス製剤は数ヶ月で効果が失われます。後遺症などのリスクもほぼなく、必ず元の状態へと戻る治療法です。抗体産生においても、適量を適切な期間での注入であれば問題ないでしょう。なお当院では、抗体産生の原因となる複合タンパク質を除去したボツリヌス製剤「コアトックス^®」を使用しています。

たるみジワは減らす治療と補う治療を組み合わせる

たるみジワは真皮層だけでなく、脂肪層や筋膜、顔面骨の萎縮などによって現れます。複合的な組織の衰えが原因であるため、ひとつの治療法での改善は見込めません。

たるみジワ治療の基本は「顔の重心を上げる」ことです。加齢により下垂した皮膚は目の下のたるみ・ほうれい線・フェイスラインのぼやけ・二重アゴなどを引き起こします。これらの老化変性を改善するためには「重りとなる不要な脂肪を減らす」だけではなく「重心を上げるために必要な組織を補う」ことが必要です。

複雑なたるみジワの原因を見極め、不要な脂肪はHIFUや高周波(RF)、脂肪溶解注射などで減らします。一方、顔面骨の萎縮やリガメントの衰えなどはヒアルロン酸注入で補い、下垂した皮膚を本来の位置へと近づけます。

凹みや溝をピンポイントで膨らますだけでなく、顔のトータルバランスを整えることで効果の高いたるみジワ治療をおこなうことができるでしょう。HIFUと高周波(RF)、ヒアルロン酸注入を組み合わせた併用治療で、数年前の若々しい顔印象へ仕上げることも可能です。

肌育製剤によるシワの根本改善もトレンド

「肌育」とは肌質そのものを底上げするヨーロッパ発祥のリモデリング(再構築)治療です。肌育製剤は多種多様にあり、それぞれ優れた特長をもちます。いずれも衰えた線維芽細胞を活性させ、コラーゲンやエラスチン産生を目指す美肌の根本治療といえるでしょう。

肌育治療は皮膚本来の再生力(治癒力)を利用し、自然なエイジングケアを目指す美容医療です。肌へボリュームを与える他の注入剤とは異なり、顔かたちを変える形成力はありません。時間をかけて若々しい肌を目指す治療法となり、美容医療を周囲にバレたくない方にも適しています。