ボツリヌス注射で叶う美容効果とその仕組み(後編)
ボツリヌス注射による多汗症治療の仕組み
汗腺の数が多い脇は多汗傾向にあり、対人関係や仕事のパフォーマンス低下などQOLへ影響を与えることも少なくありません。
「発汗」とは、汗によって体温を調整する働きのことです。自律神経の一部である交感神経が”汗を出せ”と指示を出すと、アセチルコリンという神経伝達物質が汗腺に信号を送ることで、汗が分泌する仕組みです。
多汗症は、通常の発汗機構が過剰に働くことを指します。交感神経が過剰に刺激されることで、アセチルコリンの放出が過剰になり、大量の汗が分泌されてしまいます。この過剰な発汗は、体温調節や感情的なストレスのために本来行われる発汗とは異なり、日常生活に支障をきたすことがあります。
脇のボツリヌス注射は、過剰なアセチルコリン放出を抑制することで、発汗を促す汗腺受容体への信号を阻害し、汗の過剰分泌を抑える治療法です。
また汗は、エクリン腺とアポクリン腺と呼ばれる2種類の汗腺から分泌されており、ボツリヌス注射で抑制できるのはエクリン腺から分泌される汗となります。
エクリン腺は全身に分布する汗腺であり、温感や緊張などにより無色無臭の汗を分泌します。一方、アポクリン腺は脇や乳房・外陰部などに存在し、ホルモンの影響により乳白色の汗が分泌されます。汗に含まれるタンパク質が皮膚の常在菌に分解され、匂いが発生します。
脇ボツリヌス注射は施術後、約3〜7日で脇汗抑制の効果が現れ、約4〜6ヶ月効果が持続します。ボツリヌス注射の効果は少しずつ減弱し、発汗が再発するため定期的な注入が望ましいでしょう。
ボツリヌス注射による痩身治療の仕組み
ボツリヌス製剤は、痩身治療としても利用される注入剤です。適応は肩やふくらはぎなど筋肉肥大の生じた部位となります。筋肉の過度な緊張を抑え、筋肥大を改善することで華奢な印象へと導きます。
ボツリヌス注射による痩身治療は、エラボツリヌス注射と同様のメカニズムです。アセチルコリン放出抑制により神経伝達を阻害し、筋肉に弛緩をもたらし、肥大した筋肉を細くします。
一方、エラボツリヌス注射は注入量25~50単位(両側)程度に対し、肩は80〜100単位(両肩)程度、ふくらはぎにおいては100〜200単位(両脚)など、多量のボツリヌス製剤が必要です。
ボツリヌス製剤の種類によっては抗体産生のリスクが上がるため、定期的なボツリヌス痩身を希望する場合、抗体産生の少ないボツリヌス製剤を選びましょう。
ボツリヌス痩身治療は注入後、筋弛緩の効果は数日で出現しますが、肥大した筋肉が細くなるには1〜2ヶ月を要します。注入直後は重い・だるい、などの症状が発生することがありますが、一時的なダウンタイムといえるでしょう。効果持続は約3〜6ヶ月とされています。
ボツリヌス注射による口角挙上の仕組み
口角ボツリヌス注射とは口周りの筋肉の衰えにより、下がりがちな口唇の両端を引き上げる注入施術です。口角が下がる原因は加齢や口呼吸、無意識の食いしばりなどが挙げられます。
表情筋は約30種類もの筋肉により構成されています。それぞれの筋肉が連動、拮抗することで、喜怒哀楽など豊かな表情をつくり出し、他人への感情伝達を可能とします。表情筋は、他人とのコミュニケーションツールともいえるでしょう。
口角周囲には、口輪筋・大頬骨筋・口角挙筋・上唇挙筋・笑筋・下唇下制筋・口角下制筋など複数の筋肉が複雑に交差しています。
口角のボツリヌストキシン治療を考える時に、特に重要なのは以下の筋肉です。
- ・口角挙筋(こうかくきょきん):口角を引き上げる
- ・大頬骨筋(だいきょうこつきん):口角を上外側に引き上げる
- ・口角下制筋(こうかくかせいきん):下口唇や口角を引き下げる
加齢とともに口角を引き上げる筋肉が衰え、口角を引き下げる筋肉のバランスが強まることで、口角が下がり不機嫌な印象を与えてしまうことがあります。
なかでも大頬骨筋は口角から、こめかみにつながる筋肉です。頬を上げる時に使う筋肉であり、大頬骨筋が衰えると頬が下がり、ほうれい線ができやすくなるため注意が必要です。
口角ボツリヌス注射は、アセチルコリン放出抑制による神経伝達の阻害と筋弛緩をもたらすことで口角下制筋の過緊張を緩和し、口角の下がり過ぎを抑えます。
口角ボツリヌス注射後は約3〜7日で効果が現れ、約3〜4ヶ月の間、口角が自然と上がり、若々しく幸福感のある印象へ導きます。
ボツリヌス注射によるガミースマイル治療の仕組み
ガミースマイルとは、笑顔の際に前歯の歯茎が見えすぎてしまう状態のことで、審美的診断では3mm以上、歯茎が露出する状態とされています。ガミースマイルの原因はさまざまですが、上唇挙筋(じょうしんきょきん)の過剰発達や上顎前突などによる骨格の問題、歯茎が長いことなどが挙げられます。
ボツリヌス注射の適応は、上唇挙筋の過剰発達によるガミースマイルです。上唇を引き上げる上唇挙筋の力が強いことが原因でガミースマイルが生じている場合、ボツリヌス注射による筋弛緩作用で筋肉の緊張をゆるめます。上唇を引き上げる筋肉の過緊張を抑制することで、ガミースマイルの改善が可能です。
効果はボツリヌス注射後、約3〜7日で現れます。約3〜4ヶ月間ガミースマイルが緩和される一方、効果持続のためには定期的なボツリヌス注射を受ける必要があります。
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