【医師が解説】糸リフトの種類と特徴
糸リフトの基本知識と施術の目的
糸リフトとは安全性の高い医療糸を皮下に挿入し、たるみを引き上げるリフトアップ施術です。外科手術によるフェイスリフトと異なり、メスを使うことなくダウンタイムも1〜2週間程度と比較的短期間です。
糸リフトの長さや形状は多種多様にあり、体内吸収性と非吸収性に分けられます。いずれもリフトアップだけでなく、コラーゲン産生を促し長期的なエイジングケア効果をもたらすことが特長です。
溶けない糸と溶ける糸の違い
PPや金の糸などの「溶けない糸」
溶けない糸とは、永久的に体内に残る素材で構成された糸リフトのことです。おもにPP(ポリプロピレン)や純金でつくられ、長期的なリフトアップとコラーゲン誘発を目的とします。
一方で、溶けない糸リフトは挿入後の抜去が非常に困難といわれ、アレルギーや感染症などのリスクが挙げられます。金の糸においては照射施術やMRI検査を断る医療機関も少なくありません。溶けない糸によるリフトアップを検討する場合、メリットだけでなくデメリットをしっかり調べることが大切です。
体内吸収性の素材で作られた「溶ける糸」
溶ける糸とは、体内吸収性の素材で構成された糸リフトです。おもにPDO(ポリジオキサノン)やPCL(ポリカプロラクトン)、PLA/PDLLA(ポリ乳酸/ポリ-DL-乳酸)が使用されおり、安全性などの観点から、現在糸リフトは溶ける糸の使用が主流となっています。溶ける糸のリフトアップ効果は種類によって異なり、6ヶ月〜3年ほどで加水分解され体内へ吸収されます。
溶ける糸の大きなメリットは、照射施術やMRI検査などへ影響を与えないことが挙げられます。また、糸が体内吸収されるまでの間、コラーゲン誘発によりハリ感が維持され、優れたエイジングケア効果をもたらします。
溶ける糸リフトに使用される糸の素材
溶ける糸は、外科手術にも使用される体内吸収性の医療素材です。PDO・PCL・PLAが代表的な素材であり、いずれも1〜3年ほどで二酸化炭素と水分に分解されます。
PDO(ポリジオキサノン)
PDO(ポリジオキサノン)は、糸リフト施術に使用される代表的な素材です。アレルギーや副作用のリスクが非常に低く、外科手術においても活用されています。
PDOは他の糸リフト素材と比較し、中程度の柔らかさです。自然なリフトアップとPDO特有の脂肪萎縮作用とコラーゲン誘発により、脂肪たるみに優れた効果をもたらします。体内吸収後も細胞反応が続くとされ、長期的な美肌効果に期待がもてる糸リフト素材です。
硬さ | 柔らかい |
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持続期間 | 1〜2年 |
引き上げ力 | 中程度 |
その他特長 | 脂肪萎縮作用によるタイトニング |
PCL(ポリカプロラクトン)
PCL(ポリカプロラクトン)は、FDA( 米国食品医薬品局)から安全性を認められた医療素材です。PDOよりも柔軟性に優れ、口元や目元など動きの多いパーツのリフトアップに適しています。異物感や引きつれが非常に少なく、吸収性タイプの糸において長期的な持続効果を持つことがPCLの特長です。
硬さ | 柔らかい |
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持続期間 | 2〜3年 |
引き上げ力 | 強力 |
その他特長 | 柔軟性が高く長期的なリフトアップ効果をもたらす・FDA承認素材 |
PLA/PDLLA(ポリ乳酸)
PLA/PDLLA(ポリ乳酸/ポリ-DL-乳酸)とは、植物由来のバイオマスです。PLAとPDLLAの違いは化学構造となります。PLA/PDLLAはPDOやPCLと比較し、最も強度のある糸リフト素材です。下垂した頬などに対し、非常に優れたリフトアップ効果をもたらします。
いずれも安全性の高い糸リフトである一方、医師の技術力により仕上がりは大きく左右されます。PLAおよびPDLLAの糸リフトを受ける際は、医療機関を慎重に選ぶことが大切です。
硬さ | 強度が高く、やや硬い |
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持続期間 | 1〜2年 |
引き上げ力 | 非常に強力 |
その他特徴 | たるみにアプローチする優れたリフトアップ作用 |
糸リフト2つの挿入法と効果の違い
固定して引き上げる「フィックスドタイプ」
フィックスドタイプとは筋膜や骨膜に糸端を固定し、皮膚と皮下組織を引き上げる施術法です。ごくわずかな切開をおこない※糸を深い位置で固定するため、1〜2週間のダウンタイムが発生します。
フィックスドタイプは下垂の強いたるみに適応し、強力なリフトアップ効果が大きな特長です。一方、皮膚の引きつれや左右差など、医師の技術力により仕上がりが大きく異なります。
※切開の有無は使用する糸や医療機関により異なります
フィックスドタイプに使用されるおもな糸 |
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スプリングリフト・ミントリフト・ミラクルリフト・アンカレッジなど |
糸の反発でタイトニングする「フローティングタイプ」
フローティングタイプとは、糸端を固定せず糸の反発力とコラーゲン誘発によりリフトアップをおこなう施術法です。
フローティングタイプはおもに脂肪層への挿入となり、初期たるみなど軽度な皮膚下垂に適しています。治療目的により数カ所の針穴ができる一方、ダウンタイムが短く周囲にバレにくい施術法です。自然なリフトアップ効果と増生されたコラーゲンにより、長期的なエイジングケア効果をもたらします。
フローティングタイプの糸 |
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シルエットソフト・ハッピーリフト・アプトスなど |
皮下刺激により引き締める「ショートスレッドタイプ」
ショートスレッドとは極細の吸収糸が装着された特殊な針を皮下に挿入し、針を抜いた後に糸のみを皮下に残す施術です。短い糸を使用し固定のないショートスレッドは、フローティングタイプでおこなう代表的な糸リフトといえます。
ショートスレッドは、コラーゲン誘発によるハリ改善やタイトニングを目的とするため、即時的に引き上げるというよりも、じっくりと症状を改善していきます。また、脂肪のボリュームダウン効果も期待でき、初期たるみへ優れた効果をもたらします。目元や口元など、気になる部位のみへの挿入も可能です。
フローティングタイプの糸(ショートスレッド) |
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LFL(BASIC)・ショッピングスレッド・ウルトラVリフト |
コグやバーブタイプの種類と特徴
コグとは「歯車の歯」を、バーブとは「矢じり」の意味をもちます。糸リフトにおけるコグは突起、バーブは棘状の返しのことであり、いずれも組織の保持力と安定性を高めるために開発されました。
コグやバーブのついた糸のメリット・デメリット
近年、多種多様な糸リフトが販売されています。コグやバーブは「返し」に組織を引っかけ、組織を引き寄せながら糸の保持力を利用し、優れたリフトアップ効果をもたらします。
コグやバーブのほか、メッシュタイプも存在します。3Dメッシュ状の糸の中に組織が入り込み、下垂した皮膚と皮下組織を引き上げます。また、脂肪萎縮作用により小顔効果だけでなく長期的なタイトニングをおこなう糸リフトです。
コグやバーブタイプは目周りなど、皮膚の薄い部位は適応外です。頬やフェイスライン以外の老化症状が気になる場合、ショートスレッドや他の施術を組み合わせることで、満足度の高い仕上がりとなるでしょう。
コグ・バーブありの糸 |
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Anchor X・Anchor Plus・ Bi Neeble(Anchor DX double)・シルエットソフトなど |
コグやバーブのついていない糸のメリット・デメリット
コグやバーブなどの返しのない糸リフトの適応は、小ジワやハリ感の改善がおもな目的です。組織への引っかかりがないため、リフトアップ効果は軽微といわれています。一方、ショートスレッドを格子状に挿入し、ハンモックのように下垂した組織を支えることで、自然なリフトアップが可能です。
また、頬やフェイスラインだけでなく皮膚の薄い目元や口元、首などへ施術をおこなうことができます。コグやバーブを有する糸と比較し、ダウンタイムが非常に短期間であることも特長です。
コグ・バーブなしの糸 |
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LFL(BASIC)・ショッピングスレッド・ウルトラVリフト・N-scaffoldなど |
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