当院独自の照射法で、根強い人気を誇る美肌再生治療【エコツー】。お盆休み、年末年始など長期休暇の時期にはいつも沢山のご予約を頂いております。例に漏れず、今も沢山のご予約を頂いているのですが、今年のお盆前はなぜか凄く増えています。有難い悲鳴です。

エコツーはフラクショナルレーザーという括りのレーザー治療です。皮膚の表面に微細な孔を無数に開けます。その孔はヤケドであり、すり傷でもある状態、一種のケガの様な状態です。ちょっとぶつけて擦りむいた様なケガ、傷ができた経験、皆さん一度はあるはずです。ちょっとした擦り傷や軽いヤケドなんかは数日で跡形もなく治ってしまいますよね。凄く深い傷や重傷なヤケドであれば、その痕が後々まで残ってしまった、そういうケースもあると思います。

エコツーで作る微細なキズは前者。数日で跡形もなく治ってしまいます。通常では後々、痕に残るほど強くは照射しませんが、ある程度のダメージを皮膚に与えています。そして、この軽微なダメージは自己治癒力により数日で再生してしまいます。このエコツーによる皮膚の再生治療というのは、まさしく古い家屋を新しいビルに建て替えるような作業であり、古い皮膚が一皮むけて脱皮した後には、新しいお肌がツルッと再生します。

こういったお肌の入替治療ともいえるエコツーですが、肌再生のメリット以外に何かデメリットはあるのでしょうか？凄くうまい話なんて言うのは世の中には無い、というのは皆さんご存知の通りで、メリットのある所にはデメリット、あるいはリスクと言うものがあるわけです。

デメリット・リスクの一番は、痛みですね。痛いんです、出力を上げるほどに。最近では、ほぼ無痛でありながら治療効果の高い【エンディメッド】や【プラズマ】【スキンタイト】の様な治療もありますが、エコツーはきちんと痛いです。ですので、麻酔をしますのでご安心ください。次に厄介なのは、ケガが治るまでの間しばらく痕が目立つ、赤く腫れていたり、細かいカサブタが目立つことが気になります。1週間前後ですが、個人差があります。いわゆるダウンタイムと言いまして、これは出力の強弱で調整可能です。ただ、エコツーの場合、ダウンタイムほぼゼロの出力設定では、あまり良い効果は得られませんので、オススメしません。ですからある程度、スケジュールに余裕のあるタイミングを選んで頂いています。

これらの痛みやダウンタイムの問題は不可避であり、エコツーの治療前には必ずいつもお話ししています。その他にはあまり大した事は起こりませんが、一種のケガである以上、雑菌がついて膿んでしまう事も非常に稀ですが起こり得ます。傷が生んでしまう事を感染と言いますが、これを防ぐために治療後にはお薬をお出ししたり、洗顔方法の工夫などの清潔指導を行っています。他にはPIH、炎症後色素沈着と言って、お肌の赤みが長引いたり、シミが新しく増えた様に見える反応、現象が起こることが有ります。この炎症性色素沈着という状態は時間の問題で軽快し、良くなるのですが、紫外線対策や保湿などの日常ケアが大事です。

これらの予期せぬ出来事、患者さんも、僕ら医者も誰も望んでいない、起こって欲しくないけど起こり得る出来事を合併症と言います。これらの合併症に対して、いかに適切な対処をするか、最善の対策が取れるかどうかが医師としての重要なスキルだと思います。沢山の人の皮膚を見てきた経験の数だけ、そして合併症に遭遇し、対峙した経験の数の分だけ、そういったスキルは上がるものだと思います。まだまだ未熟ではありますが、医師となって十数年有難いことに沢山の経験を積ませて頂きました。少しでもこれらの合併症を起こさない工夫、そして起きた場合の適切な対処、それらにもっと精通できる様に精進していきたいですし、今後はそういった経験や知識を沢山のドクターとシェアできればと思っています。