【後編】老化のメカニズムと顔貌変化について知る〜筋膜・筋肉・靭帯・骨の老化〜
老化による顔貌変化の原因は皮膚だけの問題ではありません。脂肪層の奥にあるSMAS筋膜や骨、さらにリガメント(支持靭帯)などの衰えが関与するため、美容医療においても照射施術のみの改善は見込めないでしょう。本記事では前編から引き続き、複雑な老化のメカニズムを解説します。
③表情筋の定着や衰えで生じる老化現象
加齢とともに現れるシワやたるみは、SMAS筋膜と筋肉の衰えが大きく関与します。筋肉を原因とする加齢サインは「表情ジワ」「筋肉の萎縮」「SMAS筋膜の菲薄化」の3つが挙げられます。
表情を繰り返すことで刻まれる表情ジワ
表情ジワとは表情筋の動きとともに生じるシワのことです。顔面には30種類以上の筋肉が組み合わさり、それぞれが牽引することで、喜怒哀楽といった複雑な表情をつくり出しています。
表情筋は意思で動かすことができる随意筋です。表情ジワは目を大きく見開くと額に深い横ジワが刻まれ、表情を戻すことでシワが消えるように、本来は一時的なシワといえます。しかし、長期にわたる表情筋の動きと、加齢による皮膚の菲薄化によりシワが固定され、深い溝が形成されます。
加齢とともに表情ジワが目立つ原因は、表情筋の連動作動(反復)と皮膚の菲薄化以外に、皮膚を支えるリガメント(支持靭帯)の衰えが挙げられます。一度衰えた組織は自然に再生することはありません。刻み込まれた表情ジワは、美容医療なしに改善することは不可能といえるでしょう。
表情筋の衰えで生じる皮膚の下垂
顔の表情筋は表情を作るだけでなく、皮膚を支える役割も担っています。加齢で筋肉が衰えることは避けられないものであり、それは顔の筋肉においても同様。加齢とともに表情筋が衰え痩せることで、皮膚に下垂が生じてしまいます。
表情筋の衰えによる加齢サインは額・眉間・目尻・口周りに現れやすく、他人から「不機嫌」「不満気」などマイナスの印象を与えかねません。
美容サイトなどでは、表情ジワを防ぐ”顔の筋トレ”や”表情筋ヨガ”が注目されています。しかし表情筋の過度な収縮と伸展は皮膚へ負荷がかかり、深いシワとして定着するため注意が必要です。
④皮膚を支えるリガメント(支持靭帯)の衰え
リガメント(=支持靭帯)とは、強固なコラーゲン線維束で構成された組織です。骨から延びたリガメントは筋肉・筋膜・脂肪・真皮層を貫き、安定させる「杭」の役割を担います。
リガメント(=支持靭帯)とは、強固なコラーゲン線維束で構成された組織です。骨から延びたリガメントは筋肉・筋膜・脂肪・真皮層を貫き、安定させる「杭」の役割を担います。
顔面に広く分布するリガメントは30代以降から少しずつ衰え始め、杭(リガメント)のゆるみとともに皮膚は不安定となり、やがて下垂します。40代に差しかかる頃にはリガメントの衰えはますます顕著となり、目の下やフェイスラインなどにたるみが現れるでしょう。
一部の美容家の間で、衰えたリガメントをマッサージで再生させる”リガメントほぐし”が話題です。しかし、たるみの生じた部位を押したり揉んだりしてもリガメントが再生することはありません。摩擦による色素沈着や、たるみの悪化を招くため注意が必要です。
6箇所のリガメントと現れる加齢サイン
眼窩上(がんかじょう)リガメント
眉の下に位置するリガメントです。眼窩上リガメントの衰えにより、まぶたが下がり、目が細く小さく見えることで若々しさが失われます。また支えを失った軟部組織が下垂し、くぼみ目となるケースも少なくありません。
眼窩下(がんかか)リガメント
下まぶたに位置するリガメントです。眼窩下リガメントの衰えにより、支えきれなくなった軟部組織が下がり、下まぶたにくぼみやたるみが生じます。目の下の膨らみは「目袋」とも呼ばれ、男女問わず老けた印象を与えます。
頬骨(きょうこつ)リガメント
頬に位置するリガメントです。頬の脂肪や真皮を安定させる役割をもちます。頬骨リガメントの衰えにより頬は高さを失い、ゴルゴ線やほうれい線が生じます。加齢とともに下垂は悪化し、いわゆるブルドッグ顔貌に近づくとされています。
耳下腺(じかせん)リガメント
耳下腺とはもっとも大きな唾液腺のことです。耳下腺リガメントは耳の前下方に位置します。耳下腺リガメントの衰えによりフェイスラインが下垂し、下顔面のボリュームが増すことも少なくありません。加齢とともにフェイスラインが四角くなる、顔が大きくなるといった症状は、耳下腺リガメントの衰えも原因のひとつといえます。
咬筋(こうきん)リガメント
頬骨下、耳と口角の間に位置するリガメントです。咬筋リガメントの衰えにより、フェイスラインが下垂し、ほうれい線や口角下がりの原因となります。下顔面のハリが失われ、老けた印象を与えることも少なくありません。
下顎(かがく)リガメント
口角下に位置するリガメントです。下顎リガメントの衰えにより、マリオネットラインを引き起こします。下顎リガメントの衰えは顔面の下垂だけでなく、首のたるみにも関与するため、早期の治療が推奨されます。
⑤皮膚の土台であるSMAS筋膜の菲薄化
SMAS筋膜とはコラーゲン・エラスチン等で構成された、筋肉を包むスポンジ状の線維体です。SMAS筋膜は骨から延びる繊維状の柱「リガメント(支持靭帯)」により支えられ、皮膚にハリを与えています。
しかし加齢とともにSMAS筋膜は菲薄化し、コラーゲン線維の隙間を満たす間質液が減少します。コラーゲン密度が低下することで、SMAS筋膜の上にある脂肪や真皮層を支えきれず、シワやたるみを引き起こします。この状態を一般的に「SMAS筋膜のゆるみ」と呼び、美容医療においてHIFUやフェイスリフトが適応されます。
⑤骨の減少による顔全体の下垂や凹み
骨の細胞には「骨芽細胞」「骨細胞」「破骨細胞(骨吸収)」があります。骨はつねに改変され、これを骨リモデリングといいます。30代から徐々に骨吸収が骨形成を上回り、骨細胞の産生と骨吸収バランスが乱れることで、骨密度は低下し骨萎縮を引き起こします。女性においては閉経後のエストロゲン減少にともない、骨吸収が亢進するため骨萎縮も顕著となります。
骨の萎縮は顔面から始まるといわれています。額の平坦化やこめかみの凹み、眼窩の広がり、オトガイ突起の短縮から始まり、やがて骨萎縮は全顔におよぶといえるでしょう。顔面骨の萎縮にともない、余剰となった皮膚は下垂し、シワやたるみなど老人性顔貌を引き起こします。
骨萎縮を原因とするたるみ・シワへのアプローチはヒアルロン酸注入が第一選択です。凹みが生じた部位へ適切な粘弾性のヒアルロン酸を補填し、下垂した皮膚を本来の位置へ引き上げることができます。
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