今回の開発に至った経緯を簡単にお話させていただきたいです。8年ほど前になると思います。オールインワンゲルのリファインクリームをクリニックで初めて開発発売いたしました。当時の主成分はナールスゲンという成分。創傷治癒というケガや傷を治す自己治癒力を高める作用のある成分を主軸に開発しました。その他にも美白成分や抗老化成分も配合し、当時の考え方では十分に納得のいく製品でしたし、保湿力というコスメに求められる性能も高く自信作でありました。しかし、その後沢山の方々の皮膚に向き合い美容医療を実践し、その経験を積み重ねていくうちに僕の中で、いろいろな疑問や課題が生まれていきます。

どうして効かない！？

様々な治療法が美容皮膚科には存在します。お悩みの数だけ、それに応えるための希望があるわけで、その数、手段は日進月歩で増えています。わたしたちはそれらの武器を使って皮膚トラブルや老化現象を撲滅すべく毎日奮闘しています。沢山の方の肌の改善に貢献できている一方で、手を尽くしている筈なのに経過が思わしくないこと、多くはありませんがいらっしゃいます。肌の仕組みや構造、治療の原理や使い方をよく理解している筈なのに、です。その疑問を解決するために、新たな治療法を開拓する日々が続くのですが、腸内細菌をはじめとする微生物の第一人者の方との出会いで、考え方の根幹が大きく変わることとなります。

目に見えない壁

皮膚の仕組みや働きに精通し、治療法の原理をしっかり理解して実践すれば成果が出るはずなのに効果が乏しいことがあります。幹細胞培養液成分は細胞のどこどこの受容体に働きかけるからコラーゲンが生成される、レーザーは細胞のどこそこを破壊して、メラニンの排泄を促進するからシミが薄くなる、皮膚の生理メカニズムを考慮して、そこに上手く作用するべく医療機器や薬剤の治療メカニズムが考案されるのですが、現存活躍している治療法のほとんどは皮膚に存在するある【壁】の存在をほぼ無視して作られています。その目に見えない壁の一つが微生物、皮膚常在菌です。皮膚表面には肉眼ではわかりませんが、無数の常在菌が存在しており、皮膚の健康に良いも悪いも多大な影響を与えています。

育てるという選択

ニキビや肌荒れに悩む人、乾燥や極度の脂性肌に悩む人、それらとは無縁で肌トラブルに縁がなく素肌の綺麗な人。乾燥せず、かと言って脂性肌でもない、シミやしわも目立たず、きめが整い潤ったハリのある美しい肌を持っている人の秘訣は何なのでしょうか。

ニキビや水虫など様々な皮膚トラブルに細菌が悪さをしていることは明白ですが、これは見方を変えれば、健康な人の場合には悪い菌が増えていない、ということを意味します。悪い菌が増えないのは何故か、あるいは居たとしても悪さをしないのは何故か。その秘密は善玉菌と呼ばれる皮膚の良い菌の働きに隠されています。皮膚の善玉菌は抗菌ペプチドという天然の抗生物質を生産し、悪玉菌や病原菌の繁殖を抑えることが明らかになっています。また、善玉菌の作る生産物質は肌を保湿し、弱酸性に誘導する作用があり、実際に肌を乾燥から守り、美しくする働きがあります。乾燥や肌荒れなど悪玉菌による様々な肌トラブルは直接的にも間接的にも老化現象を引き起こしますから、善玉菌優位の肌環境は老化現象を避けていると言って過言ではありません。

人体と善玉菌が作り出す保湿成分であるグリセリンやセラミド、細胞間脂質などを模倣した化粧品成分は様々に存在しますが、天然由来の成分に勝る人工的な成分はいまだに存在していません。つまり、肌本来の健康とアンチエイジングを考えたときに、目新しい化粧品有効成分に注目することも勿論良いのですが、美肌菌とも言われる自らの善玉菌を育成し、素肌の健康を守ることが美肌やアンチエイジングにとって大切なことではないかと考えるに至るようになったわけです。

バイオジェニックス

スキンリファインシリーズはこのように皮膚常在菌という微生物の働きに注目したスキンケアシリーズです。気を見て森を見ず、単一の成分に注目するよりも大きな枠組みで全体の活動を考えることが必要なのではないかというコンセプトも含んでいます。乳酸菌生産物質という特許成分がキモなのですが、これについてはまた次回ご紹介させて下さい。構想から数年がかりで完成した自信作です。様々なメディアでもご興味頂き、ご紹介いただいておりますスキンリファインシリーズ、ぜひお試しください！

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クリニック各院でも発売中です。オンラインショップでもご購入いただけます。