HIFUと高周波(RF)によるエネルギー伝達の違いと効果の比較
HIFUと高周波(RF)による熱治療の基本概要
美容医療の現場で用いられるHIFUや高周波は、熱を利用して皮膚組織に変化をもたらし、たるみなどを改善する治療方法です。HIFU・高周波によって発生したエネルギーの波は、皮膚内へ吸収されると組織内の分子の運動を引き起こし熱へと変換されます。
皮膚組織の温度が必要十分な時間と高温に維持されると、サーマルアブレーション(熱凝固)とよばれる、タンパク質の熱変性および細胞壊死が起こります。
熱治療によるおもな効果は、以下の4つです。
- ・タンパク質の熱変性による組織収縮
- ・治癒反応による線維芽細胞の活性
- ・脂肪細胞の減少
- ・脂肪細胞を収納する線維性隔壁の収縮
これらは「加熱温度」「皮膚深度」「エネルギーサイズ・形状」によって効果が異なります。
加熱温度:組織の熱変性には60℃以上が必要
生体組織への熱的効果の中でも、熱凝固を起こす温度と照射時間の閾値※はさまざまな研究がなされています。
皮膚組織において線維芽細胞の活性化が生じるのは43℃程度からとされています。一方でその効果は非常に軽微な変化であり、リフトアップ・タイトニング効果(コラーゲン繊維の熱変性による収縮)が生じるためには60℃以上が必要とされます。
また、HIFUや高周波から生じた60℃以上の熱によって損傷した組織の周りでは、治癒反応が生じます。その過程でさらに線維芽細胞が刺激され、皮膚弾性物質の生成が促進されることにより、皮膚のリジュビネーションが起こります。
※閾値:境界となる値
皮膚深度:適切な皮膚層へ熱を届けることが大切
たるみ症状を改善する場合は、真皮から筋膜まですべての皮膚層へのアプローチが必要となります。
- ・真皮層:皮膚弾性物質の生成促進
- ・脂肪層:過剰な脂肪細胞の除去
- ・支持靭帯:皮膚を骨や筋肉に固定している支持靭帯(リガメント)の再構築
- ・筋膜層:緩んだ筋膜層の収縮
など、その処置は多岐にわたります。
HIFUマシンや高周波マシンはそれぞれのエネルギーソースに合わせ、熱を与える皮膚の深さを調整することが可能です。
HIFUマシンと高周波マシンのエネルギーが届く皮膚層はそれぞれ異なります。HIFUは真皮層から筋膜層まで、加熱の深度を選択することが可能です。一方、高周波はモノポーラ式(単極)やバイポーラ式(双極)、ニードルRFなど機種により皮膚への加熱深度や熱波及が決定されます。
エネルギーサイズ・熱の広がる形状の特徴
HIFU・高周波いずれのエネルギーソースも、効果的な熱変性を起こすためには一定のエネルギーサイズ(照射径)が必要です。
HIFUの一般的な照射方法(ドット照射)の場合、エネルギーサイズは1mm前後と小さく、重ね打ちをすることで広範囲を加熱します。一方、高周波のエネルギーサイズは大きく、一度に広範囲を加熱することができます。
HIFUのエネルギー伝達と作用機序・効果
皮膚層への超音波エネルギー伝達とその効果
HIFUは高密度焦点式超音波療法といわれるように、ハンドピースに組み込まれたトランスデューサー(=エネルギー変換装置)によって、焦点径1mm程度の高密度に集束した超音波を発生させる照射機器です。
超音波エネルギーが皮膚内部へ吸収されると、組織分子同士の振動により摩擦熱が生じます。すると、超音波が集束する焦点領域では組織が60℃以上の高温に維持され、組織の収縮(熱タンパク変性)や脂肪細胞の死滅(細胞死)などが起こります。
さらに、熱によって損傷した組織の周りでは治癒反応(線維芽細胞の刺激)が起こり、新しいコラーゲンの沈着と再構築により、優れたリフトアップ効果をもたらします。
HIFUの最たる特徴は、ターゲットとする皮膚の深度(真皮層から筋膜層まで)をカートリッジ変更により選択できることです。局所的な熱タンパク変性や細胞死をもたらす一方、焦点領域以外での組織変性は基本的に起こりません。
リフティングベクトルに沿った照射が重要
一般的なHIFUは超音波が点状(ドット)に照射されるため、点と点の間には間隔があきます。そのため、広範囲へ熱を波及させるためにはショット数を増やし高密度に照射する必要があります。
近年では超音波が線状(リニア)に照射されるHIFU機器もあり、より効果の高いリフトアップ施術が可能になりました。当院の施術ウルニューマ・ギガフォーマーで使用するHIFU(ウルトラフォーマーMPT)では、ほぼリニア照射をおこなっています。
HIFUで高い効果を得るためには、ただ照射すれば良いというわけではありません。表情筋の動きを読み、筋膜を引き上げるようにカートリッジをあて、下垂した皮膚を本来の位置へと近づけるリフティングベクトルに沿ったHIFU照射の技術が必要になります。
また重ね照射は、火傷や痛みが増すなどのリスクを伴います。顔面解剖学を熟知した施術者による安全性を配慮しながらの照射が大切です。
高周波(RF)のエネルギー伝達と作用機序・効果
皮膚層への高周波エネルギー伝達とその効果
高周波とはRF(Radio Frequency)とも呼ばれ、非常に周波数の高い電磁波のことです。
高周波エネルギーが皮膚内部へ吸収されると、水分子同士の摩擦により熱(ジュール熱)が生じます。高周波は水分量の多い真皮層で最も熱を発生させるため、表皮に影響を与えることなく深層加熱を実現します。
また、高周波のエネルギーは皮膚層に流れる電流の大きさによって制御することができるため、美容医療において利便性の高い照射をおこなうことが可能です。
高周波(RF)による加熱方法と効果
高周波機器はおもに、モノポーラ式(単極)とバイポーラ式(双極)に分類されます。
モノポーラ式は真皮層に対して65℃前後(機種によっては75℃)まで加熱することができます。広く深く強力に作用するため、非常にタイトニング効果の高い熱治療が可能です。
バイポーラは、モノポーラ式とくらべて浅い加熱である一方、連続的な照射をおこなうことで、真皮浅〜中層の皮膚弾性物質が生成され、ハリ感のある肌へ導きます。
高周波(RF)による肌の引き締めのメカニズム
加齢によるたるみ症状は、真皮層の皮膚弾性物質の減少や、脂肪を正しい位置で支える靭帯(リガメント)の衰えが大きな原因です。
生体組織に流れる高周波の電気伝導率は均等ではなく、最も抵抗の少ない経路をたどります。この特徴により、コラーゲン線維からなるリガメントや脂肪細胞を支える線維性隔壁を優先的に加熱され、たるみ症状を改善に導くのです。コラーゲン線維の即時的な収縮・再構築は、照射直後からのタイトニング効果をもたらします。
また熱によって損傷した組織の周りでは、時間の経過とともに治癒反応が起こり、線維芽細胞が刺激され、皮膚弾性物質の生成が促進されます。線維芽細胞活性によるコラーゲン・エラスチン生成は、数ヶ月間におよぶリフトアップ効果のカギといえるでしょう。
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