【ヒアルロン酸】でたるみ治療。ビスタシェイプ・ビスタアイのDr向け解説です
たびたびブログ等でもご紹介させていただいていますが、最近僕自身相当気に入っておりますヒアルロン酸注入について、現時点での注入法、注意点などまとめてみようと思います。この記事は医療従事者の方、特にこれからヒアルロン酸注入を診療に取り入れていきたいというドクターを対象にした内容になりますので、専門用語が多く登場します、ヒアルロン酸治療にご興味の無い方は読み飛ばしてくださいませ。
①しわを治療する
ほうれい線、マリオネット、ゴルゴライン、細かいしわ等、今見えているしわを直接、即効的に治療できるのがヒアルロン酸注射です。様々な部位へ注射をしますが、すべての手技に共通して言えることは形から入ると言いますか、しっかりと注射できる姿勢、体制を確保する事前準備が一番です。不安定な態勢、片足、中腰などで正確な注入、指先を動かすことはできませんので、しっかり落ち着いた余裕のあるスペース、体制を準備することから始めます。実際の手技においては脇をしめる、利き手ではないほうで支える・抑えるなど手先がぶれたり、不用意に手が動いてしまうことのないよう両手をうまく使い、無駄な動きを省くことが重要です。
皮内、真皮層に筋状に注入する手法は古典的ですが、コラーゲン・ヒアルロン酸注射の基本であり、基礎的な技術です。初めてヒアルロン酸を注入するドクターは、まず今見えいているそのしわのすぐ真下の真皮層に確実に注入することから初めてください。真皮の厚みは場所により異なり、0.5㎜程度~4、5㎜まで幅があり、瞼、ほほ、ひたい、口回りなど顔の部位によって大きく異なりますので、それぞれの場所で真皮の厚みの違いを感じながら、注入してください。
真皮のごく浅い部分に注入してしまうと、みみずばれの様なふくらみがしばらく目立ちます。できるだけ真皮層の中でも深い層を心がけることが、目立たせないポイントです。下瞼のこじわを気にされる方も多いですが、ここは1㎜の厚みもない、ほとんど真皮のない場所ですので、浅いも深いもありません。ですので、注入技術というより製剤の特性が重要な場所になります(もちろん慣れてくれば、皮内を狙うこともします)。
皮内、真皮への注入が問題なくできれば、次は皮下組織、脂肪層や筋肉内への注入になります。ここからはリスクが大きくなっていきますので、デンジャーゾーンを意識した注入が必要になります。くぼんでいるから、その部分の皮下へ、ただ注入すれば良いという単純な手技ではなくなりますので、血管や神経などの解剖を意識することが不可欠になってきます。解剖の本などを見返すことをおすすめします。前述の真皮内への注入では血管閉塞、圧迫による血行障害など最も重篤な副作用をひき起こす可能性はほぼありません。上手くできなかったとしても、ぼこぼこみみずばれが目立つ、内出血が気になる等のお叱りをいただく位で、リスクや合併症を考慮すると限りなく安全な注入法と言えます。皮下に注入する場合はいろいろ気を付けなければいけないポイントがあります。
②デンジャーゾーン
ヒアルロン酸を皮下組織に注入する場合、事前に解剖を意識して避けるべき教科書的なゾーンがあります。目の下、瞳孔の中心から3cmほど下の部分に眼窩下孔があり、神経血管束が存在しますので、この周辺を避けることは基本です。また、その鼻側、中枢側には顔面動脈の分枝や鼻背動脈、眼角動脈などの微細な血管が個人差の強い様々なバリエーションで存在していますので、避けることが推奨されます。隆鼻目的のヒアルロン酸あるいはフィラーによる最悪の事故はこの部分の血管閉塞あるいは血管の圧迫と考えられていますので、初心者のうちは手を付けないことをお勧めします。
眉間も実は注意を要するポイントで、滑車上動脈、眼窩上動脈などへの影響により皮膚壊死を生じる可能性もあり慎重に行くべき部分です。正中というのは身体のすべての部分において血流が乏しくケロイドなどの好発部位でもあり、血行不全を生じやすいので注意します。
ほうれい線やマリオネットライン、ここへの直接注射は顔面動静脈に留意します。こめかみへの注入においては浅側頭動脈に留意します。留意と書きましたが、具体的にはシリンジを引きバックフローのないことを都度確認するという作業になります。ただし、この点で注意が必要なことがありまして、ある程度経験のある先生でも陥りやすい勘違いがありますので注意喚起します。
直接針を針を刺すボーラス法においてはバックフローの確認はかなり有効ですが、血管に対する角度や部位、血管そのものの太さ等により100%安全とは言えない点に気をつける必要があります。また、鈍針カニューラを使用すればかぎりなく安全と言えますが、100%の保証はない、というよりもむしろ、鈍針だから大丈夫という過信が重大な副作用を生じるリスクがある点を考慮することが重要です。
動脈は静脈ほど可動性はありませんが、その分血管壁が強固です。カニュレーション(血管内にすっぽり入ってしまう)してしまうと、おしこを引いても血管壁に密着しバックフローを引けないことがあります。多くの鈍針カニューラは先端側面に孔が開口しており、サーフローのように先端に孔はありませんので、上記の現象が起こりえます。ですので、カニューラだから安心と、やみくもに注入していると、知らぬ間に血管内に大量投与してしまう可能性もありますので、注入している部分に触れながらゆっくり注入する、注入した分だけの組織の膨隆を左手の人差し指で感じながらゆっくり注入することが、安全の確認になります。また血管の走行の方向を意識して角度をつけるなど安全対策をとりながら目的の皮下組織へゆっくりと、少量ずつ注入することが賢明です。
皮内への注射、そして皮下への注入が丁寧に行えるようになれば、この後は経験、そしてセンスということになってくるのですが、デマイオ先生の考案したMDコードによるリフトアップは簡便であり、むしろ初心者のDrにも扱いやすく効果の高い注入法になります。
③ヒアルロン酸でリフトアップ、ビスタシェイプ・ビスタアイ
丸で囲んだ部分が通称【L】エルと呼ばれるポイントで、優先すべき順番から外側からL1、L2、L3と呼ばれています。この部分手で押さえて、1㎜でも2㎜でも良いので少し上、外側に皮膚を引っ張ってみてください。ほうれい線やほほの毛穴が改善することを実感できると思います。ほんの1㎜、2㎜の移動で大きく印象が変わります。コルクボードにメモ紙をピン止めするようなイメージです。先ほどのように皮膚を少し引っ張ってヒアルロン酸で鋲を打って止めてあげるそんなイメージがL1やL2の注入になります。1か所0.0.5-0.1mlの量で充分です。非常に少ない量ですが効果を発揮します。ゆるんだリガメント(靭帯)をたくし上げる、あるいはハンモックの付け根を巻き上げるようなイメージです。L3のポイントは従来のボリューマライジングという手技に通じますが、若干異なる要素もあります。ピン止めするイメージで使用するヒアルロン酸はジュビダームウルトラプラスというアラガン社製のヒアルロン酸が適しています。L3、あるいは眼窩下孔周辺デンジャーゾーンの治療に望む場合にジュビダームを使用するのは製品の特性上、かなりの熟練を要しますので注意が必要です。
上記はビスタシェイプの一番肝になる部分です。その他にも有用なポイントがありますが、今回は割愛します。ビスタアイ、目を大きく見えるようにする注入法で重要なのはこめかみ、側頭筋内への注入です。筋肉内に注入するわけですが、側頭筋というのは非常に大きな筋体です。形成外科において頬骨弓単独骨折の際にしばしば用いられるgilliesのtemporal aproachという術式があり、この手術で到達するスペース、硬い筋膜の下面にヒアルロン酸を注入すると筋膜の下で自然にヒアルロン酸は広がりをみせます。硬い筋膜を超えた層に注入することがポイントになりますので、針先が骨に当たればこの筋膜を貫通していることが確実です。0.2-0.4程度凹みの変化を見ながらゆっくり注入します。皮下に層状にリニアスレッディングという手法で注入するケースもありますが、製剤により皮膚表面がボコボコとした感じに見える場合もありますので、骨に当たること、垂直に深く針を刺すことが重要です。通称【E】と呼ばれる部分、眉の下、眼窩上外側への注入は目を開きやすく、大きく見せる効果があります。この部分への注入は指で眉をつまみ上げて、その中間に打つのですが皮下、深め、骨のすぐ近くを意識することがポイントです。【L】、【E】、そして【コメカミ】への注入がリフトアップに非常に効果的です。
MDコードによる注入は経験やセンスに左右されずに一定のリフトアップ効果を発揮する素晴らしい方法だと確信しています。僕自身は注入の経験は10数年になりますが、そのくらいの経験のDRも、初心者のDRも、コードに従って注入することでほぼ同じリフトアップ効果を発生させることができます。開発者のDrデマイオは、誰が注射しても同じ結果が出せるマニュアル、教科書作りを目指していた様で、まさにその目的を成し遂げている優れた注入理論です。ゴッドハンドと呼ばれる、非凡な手先の器用さを持つ、そのDRにしかできない神業、というのももちろん素晴らしいと思いますし、僕もそういったことに憧れを持って形成外科の道に足を踏み入れましたが、遠方であったり、予約がいっぱいだったり、お客様には大変な不便があるわけです。素晴らしい医療というのは、どんどん共有され、そういった医療を全国誰でも受けられるようになるというのが、本当に優れた医療、医学という学問であるとも思っています。
ですので、MDコードによるビスタシェイプ・ビスタアイ、非常にお勧めの治療です。もちろん、僕なりのアレンジを加えて、一味違うビスタシェイプをご提供できるように安全面に最優先に配慮しつつ、結果にこだわる治療を続けて参ります。
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