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ヒアルロン酸注入施術と医師の芸術センス・美的センス(インタビュー)

篠原秀勝

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篠原秀勝(しのはら ひでまさ)

ヒアルロン酸注入施術はアレルギーリスクが低く、仕上がりに満足できない場合は分解することも可能なフィラー(注入剤)です。そのため、インターネットなどで手軽さを押し出す情報がクローズアップされることも少なくありません。

また、昨今ではOverfilled Syndrome(フィラー入れすぎ症候群)によるトラブルも問題視されています。 解剖学に基づく技術力をもち、洗練された美しさを追求するスキンリファインクリニック院長の篠原秀勝先生に、ヒアルロン酸注入施術の注意点と芸術センスの関係について教えていただきました。

ヒアルロン酸注入施術に必要な美的センスと芸術センス

ーーヒアルロン酸過剰注入による不自然な仕上がりを避けるために、豊富な経験や医療知識のある医師を選んだにも関わらず、不自然な仕上がりになるのはなぜでしょうか?

「ヒアルロン酸注入施術で美しく自然な仕上がりを実現するためには、医療知識はもちろん、医師のもつ”美的センス”と芸術センス”が重要となります。」 「一般的にデザインと呼ばれるものが美的センスにあたります。

たとえば、ヒアルロン酸注入を行う際にシワの深さや骨格を確認し、注入部位やヒアルロン酸製剤の注入量を適切に加減する作業は経験による美的センスが必要となります。このような医療技術やセンスは外科医としての基礎を学び、長期に渡る厳しい臨床現場を経験してこそ身につくものといえるでしょう。」 「また、センスというものは時代や国によって異なるため、ある意味”流動的な美しさ”ともいえるでしょう。

そのため海外で美容整形を行なった場合、現地での流行顔に仕上がることもあるため注意が必要です。」 「一方、芸術は”普遍的な美しさ”をもちます。たとえばミロのヴィーナスはこれまでも、この先も美の象徴とされるでしょう。流行にとらわれない審美眼を磨くためには、ひとつでも多くの芸術に触れ、”なぜ美しいと感じるのか”を繰り返し自問自答する時間が大切だと思います。その感性こそが、患者さまのもつ本来の美しさを引き出す鍵となるはずです。」

得意な絵画をヒアルロン酸注入施術に活かす

ーー以前、篠原先生のSNSでオードリーヘップバーンのイラストを拝見したことがあります。とても美しく、またご自身の作品ということに驚き、当時おもわずコメントを入れた記憶があります。絵画が趣味とのことですが、絵画の知識が美容医療に活かされることはあるのでしょうか?

「絵画の知識はヒアルロン酸注入に限らず、すべての美容医療施術に反映されると考えています。絵を描く作業はキャンバスに筆を走らせる前に、すでに頭の中で具体的な完成イメージがあります。これと同様に、たとえば患者さまの頬に高さを持たせたい、しかしこの方の骨格は過剰な注入によって目が細く見えてしまう、など仕上がりを予想しながら、施術を行うことができるのです。」

フィラー入れすぎ症候群に注意

ーーいわゆる美容整形アカウントなどで、ヒアルロン酸注入施術を紹介するインフルエンサーが多くいらっしゃいます。その中には額や頬が大きく盛り上がり、違和感のある仕上がりになっているケースも見られますが、あの状態は注入直後だからでしょうか?

「それはいわゆる、Overfilled Syndrome(フィラー入れすぎ症候群)ですね。ヒアルロン酸製剤は体内に吸収され、いずれは元の状態へと戻ります。そのため患者さまの中には一度に大量注入を希望する方も少なくありません。」

「元の顔立ちが分からないほどのボリュームこそが美しいと思い込んでしまう、Overfilled Syndrome(フィラー入れすぎ症候群)。コブダイのように飛び出した額や巨大化した唇など、ヒアルロン酸注入施術を繰り返しているうちに加減が分からなくなり、過剰注入を求めた結果、不自然な仕上がりになってしまうことがあるのです。これは、患者さまに言われるがままにヒアルロン酸注入施術を行う医師にも問題があると思います。」

ヒアルロン酸は水分を引き寄せる物質

ーー体内吸収を考えると、たしかにヒアルロン酸製剤を多めに注入したくなる気持ちは分かります。しかし、注入時は控えめにした方が良いのですね。

「ヒアルロン酸は水を引き寄せる特徴をもつ物質です。そのため体内の水分を引き寄せたヒアルロン酸製剤が、数日たってから想定外にボリュームアップし、”ヒアルロン酸注入に失敗したような顔”になってしまうことがあるので注意が必要です。」

「ヒアルロン酸製剤は体内に吸収されますが、最近は注入時の状態を長期間保つ製剤も多く作られています。ヒアルロン酸製剤は大まかに、涙袋や唇に使用する柔らかなタイプと、額や頬、鼻すじの形を整える硬いタイプに分けられます。とくに硬いタイプのヒアルロン酸製剤は、すぐに体内吸収されないよう作られているため、一度注入してしまうと分解剤を使用するまで長期間、ボリュームアップされた状態のままとなります。」

「分解剤を使用すればすぐに元の状態へと戻せますが、注入したすべてのヒアルロン酸製剤が分解されるため、再施術となります。まずは控えめにヒアルロン酸注入を行ない、しばらく様子を見てボリューム不足と感じた場合、追加注入を検討すると自然で美しい仕上がりとなります。」

芸術センスや美的センスのあるクリニック選びのコツ

ーーヒアルロン酸注入施術で芸術センスや美的センスのあるクリニックを選ぶために、チェックしておくといいことやコツなどはありますか?

「受付や看護師などのスタッフさんは大抵、そのクリニックで何らかの施術を受けています。その仕上がり(自然か不自然かなど)は参考になるのではないでしょうか。ほかにも、院内のインテリアや内装、医師の身なりなどをチェックしておくのもいいかもしれません。」

「華やかで豪華な内装であっても、センスがあるかないかで印象は大きく変わると思います。また高級な家具や設備であったとして、お掃除が行き届いていないと残念ですね、質素な内装であってもセンスと品が良く、お掃除が行き届いていると美しく見えるものです。」

「また、女性医師の場合、自身で注入施術を行なっている方も少なくありません。先生のお顔の仕上がりに注目されるのもよろしいかと思います。そして何より丁寧なカウンセリングと、ヒアルロン酸注入施術のメリット・デメリットを、しっかり教えてくれる医師を選んでくださいね。」

(取材/城戸 香)

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