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【総論編】ヒアルロン酸注入 ― 若返り治療の本質は「足す」ことではなく「整える」こと

篠原秀勝

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篠原秀勝(しのはら ひでまさ)

ヒアルロン酸注入というと、「しわを埋める」「ボリュームを足す」といったイメージが一般的です。
しかし実際には、単に“足す”だけでは人の顔は美しく見えません。
私たちが日々の診療で目指しているのは、失われたバランスを整え、自然な表情の中に若さを取り戻すことです。

1. 老化の本質 ― “皮膚”だけではなく、“構造”の変化

顔の老化は、皮膚の弛みやしわの表面変化だけでなく、
脂肪層の萎縮、靱帯のゆるみ、骨格の吸収といった深層構造の変化によって起こります。

近年の研究では、老化を「体積変化」「支持構造の弱化」「表情筋バランスの変化」と分けて考えるアプローチが主流です。
(参考文献:Liew, S. et al., Facial Aging and Volume Restoration: Systematic Approach to Three-Dimensional Facial Rejuvenation, Aesthet Surg J. 2023)

したがって、治療で重要なのは「どこに注入するか」ではなく、
“どの層に、どの構造目的で、どのように戻すか” という設計です。

加齢による変化は「家が年月とともに変化していくイメージ」

顔の変化は、皮膚の表面だけで起こるわけではありません。
その変化は、まるで年月とともに住まいがすこしずつ形を変えていく様子に似ています。

外から見えるのは壁のヒビや塗装の劣化ですが、
その背景には目には見えない深い部分の変化が存在します。

 骨格の吸収 ― 家の“基礎”や土台が少しずつ縮む

年齢とともに骨が吸収され、少しずつ薄く小さくなります。
これは、「家の土台が年数とともに沈んでいく・痩せていく」イメージです。

 ➡︎ 結果:全体の支えが弱くなり、周囲の構造にも影響が出る

 靱帯のゆるみ ― 固定する“柱や金具”が緩む

皮膚や脂肪を固定している靱帯(リテイニングリガメント)は、家でいう梁や固定金具の役割です。
加齢とともに緩むことで、支えが弱まり、上にある組織が下へ下がりやすくなります。

屋根裏の梁がなくなると、支えられていた断熱材が重力によってたわんでくるイメージです。

 ➡︎ 結果:フェイスラインや頬が落ち、たるみが現れる

 脂肪層のボリュームロス ― 家の“断熱材”や“クッション材”が薄くなるような状態

顔の脂肪層は、輪郭に丸みや柔らかさを与える役割があります。
家に例えるなら、壁の中にある断熱材や緩衝材(クッション材)のような存在です。

時間が経つと断熱材がしぼんだり薄くなるように、
脂肪も加齢とともに少しずつ減っていきます。

 ➡︎ 結果:
・影が増える
・こけたように見える
・疲れた印象になる

2. ヒアルロン酸注入の進化 ― “しわ治療”から“構造設計”へ

初期のヒアルロン酸注入は、しわや凹みに“直接注入して埋める”ものでした。
しかし現在は、顔全体を立体的に見て、骨格・脂肪・皮膚それぞれの層に働きかける「全顔デザイン治療」へと進化しています。

スキンリファインクリニックでは、篠原院長監修の「層別デザイン法」に基づき施術を行っています。

3つの層へ段階的にアプローチし、ボリュームを“足す”のではなく、失われた構造を“戻す”ことを目的としています。

層別デザイン法の3つのステップ

 Deep Support(深層)— 支持構造の再構築

顔の最深部である骨膜上にヒアルロン酸を注入し、顔の土台を補強します。
また、骨から皮膚までを貫く支柱としての役割を持つリテイニングリガメントの支点を補強することで、
たるみの原因となる構造的な支えを強化します。

これにより、自然で崩れにくい基盤を作ります。

 Middle Lift(中層) — リフトアップ設計

脂肪層に働きかけ、失われたボリュームを補いつつ、重心を引き上げることで自然なリフトアップ効果を形成。
フェイスラインや頬の形状を整え、立体的で若々しい輪郭へ導きます。

 Surface Refinement(表層) — 質感の微調整

浅いしわ・影を調整。
仕上げとして浅い凹みや陰になる部分を調整し、自然でより美しい仕上がりにします。

このように、ヒアルロン酸注入は単なる“しわ埋め”ではなく、顔全体の構造・バランス・陰影を再設計する治療へと進化しています。

3. 自然さとは何か ― 審美基準と個性のバランス

美容医療における「自然さ」とは、治療されたことを感じさせない変化のことです。
自然な仕上がりには普遍的な美的比率と、その方の持つ個性の美しさの両立が必要です。

普遍的な美的比率には、黄金比・Eライン・顎角などの解剖学的指標があり、
それらにいかに近づけるかが重要ですが、それだけでは不十分です。

個性の美しさ、その方らしさをいかして仕上げることが、「自然な美しさ」には必要です。

治療後に言われたい言葉は、
「変わった?」ではなく、
「なんとなく綺麗になった」「元気そう」「印象が柔らかくなった」です。

4. ヒアルロン酸注入における「最適量」とは

ヒアルロン酸注入の効果は、投与量そのもので決まるわけではありません。
「多い=若返る」「少ない=自然」という理論は誤解です。

同じ量を注入しても、
・骨格
・脂肪の厚みと分布
・靱帯の支持力
・皮膚のハリ
・表情筋の使用パターン
によって効果は大きく異なります。

その方に応じた「適正な注入量」と「配分」が治療成功の鍵となります。

ヒアルロン酸注入は、施術医師の
・経験値(どのくらいの量を注入すればよいか)
・美的センス(どこに注入すればよいか)
が最も問われる治療です。

5. ヒアルロン酸注入のリスク

ヒアルロン酸注入は、わずかな時間で見た目を整える事ができる安易な治療と考えられがちですが、リスクもあることを理解して受けてほしい治療です。

 内出血・腫れ

ヒアルロン酸注入は、皮膚の下に針やカニューレを挿入して行うため、
周囲の小さな血管を避けきれずに刺激してしまうことがあります。
その結果として、内出血(青あざ)が出ることがあります。
また、注入の刺激によって軽度な腫れ(むくみ)がでます。

多くの場合は数日〜2週間程度で目立たなくなり、
日常生活にも大きな影響はありません。
しかし、仕事やイベントの予定がある場合は、
施術日を余裕をもって設定することが安心です。

【対策】
・施術後のマッサージ、激しい運動、飲酒など血行が良くなる行為を控える。

起こりうるものとして理解しておけば、軽度で済むリスクです。

 感染

非常にまれではありますが、
注入部位から細菌が入り、赤み・痛み・腫れ・熱感などの炎症症状が起こることがあります。

ヒアルロン酸そのものは生体適合性が高い成分ですが、
外から細菌が侵入すると反応を起こしてしまうため、
施術中と施術後の清潔管理が重要です。

【対策】
・施術前の十分な消毒
・衛生管理の整った医療環境で受ける
・施術後はむやみに触れず、当日のメイクを控える

施術前後の管理をしっかりすることで、ほぼ避けることができるリスクです。

 血管閉塞(最も重篤なリスク)

ヒアルロン酸が血管の中に入ってしまい、血流が止まる状態です。血流が途絶えると、その血管が支配していた領域によって、皮膚壊死や視力障害などの影響が出ることがあります。

解剖学的知識

顔面の血管や神経は、層(深さ)をまたぎ複雑に走行しています。走行には個人差もありますが、安全に注入できる部位や深さ、避けるべき部位や深さなどの解剖学的知識が施術医師に求められます。

注入量と速度の管理

注入量とは、1部位あたりの注入量です。大きな塊でヒアルロン酸を注入すれば、ヒアルロン酸自体が血管に入っていなくても、周囲の血管を圧迫して血流障害を起こすことがあります。当院で採用しているのは、「マイクロボーラス法」で、ごくわずかな量のヒアルロン酸を数珠状に細かく注入しながら面にして仕上げていく方法です。

注入速度とは、注入の圧力と言い換えられます。ヒアルロン酸はゼリー状の物質ですので、細い針から押し出すのにはある程度の力(圧力)が必要ですが、この圧力が強すぎると、血管の中にヒアルロン酸を押し込んでしまうリスクが高くなります。適度な圧力で注入する施術医師の技術と経験が問われます。

リスクの少ない注入器具

当院では、先の尖った針(鋭針)と先が尖っていない(鈍針、カニューレ)を使い分けます。狭い範囲にわずかに注入するには鋭針が向いていますが、広い範囲に注入するには血管をなるべく傷つけないように、鈍針のカニューレ(先の尖っていない長い針)を使います。

合併症の回避と迅速な対応

 万が一血管閉塞が起きてしまった場合には、迅速な対応が必要となります。なるべく早いタイミングで、ヒアルロン酸を溶解し血流を再開する治療が必要になります。

以下の場合は早めの診察が必要です。

・痛みが強い、注入後よりも痛みが増す
・皮膚の色が白っぽくなっている
・皮膚の色が赤~紫色になっている
・ニキビのような小さな水疱や膿疱できている

 しこり

しこりは、発生するタイミングによって2種類に分けられます。

●早期(数日〜2週間)

・注入後の腫れがしこりのように感じられる事があります。元々むくみやすい人で見られる事が多いです。むやみに触らずに経過観察とし、なじんでくるのを待ちます。

数週間経ってもなじまない場合は、製剤の弾性(硬さ)や凝集性(型くずれしにくさ)が注入部位に合っていない場合が考えられます。皮膚のうすい部位に硬いヒアルロン酸を注入した、型くずれしにくいヒアルロン酸を塊で注入した、などの原因が考えられます。この場合は溶解注射で改善できます。

・ヒアルロン酸の注入部位が浅過ぎる場合は、なじみが悪く、ぽこっとしたしこりとして見えることがあります。この場合も、溶解注射で改善できます。

●遅延性(数ヶ月〜数年)

・免疫反応、アレルギー反応

しこりは、赤みや熱感を伴うことが多いです。ヒアルロン酸自体は元々体内にある物質ですが、製造の過程で含まれる架橋剤(ヒアルロン酸分子どうしをつなげる接着剤のような物)に免疫反応が起きることがあります。抗アレルギー剤の内服や、しこりが何回か繰り返して出てくる場合は溶解注射で対応します。

・低毒性細菌によるバイオフィルム形成

本来ならばあまり悪さをしない低い毒素の細菌が、ヒアルロン酸表面にフィルム状の膜を形成して潜伏した状態です。感染症、歯科処置、ワクチン接種、体調不良などを契機に炎症を誘発します。抗生剤やステロイド、溶解注射などで対応します。

参考文献:
Foreign Body Granulomas after the Use of Dermal Fillers (2015)
Granulomas and nongranulomatous nodules after filler injection: Different complications require different treatments (2020)
Delayed Onset Nodules After Hyaluronic Acid Fillers (2022)
Systematic Review of the Literature of Delayed Inflammatory Reactions After HA Filler Injection (2019)
Review of the Adverse Effects Associated with Dermal Fillers (2024)

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